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SAP~20年の関わりから思うこと~
私はもう20年ほど前になりますがSAPの認定資格を取得しました。しかしその後はSAP導入による業務改革目標の整理など主に上流域の業務を担当していましたので、SAP製品のエキスパートという訳ではありません。ただSAPとはかれこれ20年来の関わりがありますので、今回は私自身のSAP経験などから思うところをご紹介したいと思います。
■SAPが登場したころ
SAPが日本に登場した当時、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)というコンセプトが大流行していました。そこでSAPは、自社のERP製品を企業の全体最適を実現しグローバル・スタンダードへの適応を可能にするものとして位置づけ、大いに人気を博すようになりました。そしてその後はただやみくもにSAPを導入しては失敗する企業が多数出現したのです。SAPのメリットが本格的に理解されるようになったのは、その後新興市場の拡大と共にビジネスの不確実性が飛躍的に高まるようになってからだと記憶しています。SCM(サプライチェーン・マネジメント)が一気に普及するようになった時期です。
■私のSAP経験
私がSAPに関わるようになったのはちょうどこうした時期でした。私はお客様の推進メンバーと一緒に具体的なSAP導入による変革案とそのメリットを整理してゆく仕事をしていました。ただこのフェーズには決まった手順がある訳ではありません。事業部長様のところにお邪魔して、現在感じられている問題や改革したい事柄などお伺いしながら、全く話が嚙み合わずバツの悪い思いをするというようなこともありました。色々と厳しい経験もしましたが、製造工場の現場や地方拠点への訪問など思い出深い経験も少なくありません。
しかし皮肉なことに、このようなアプローチが必要になったのは、逆を言えばSAPが以前のように簡単には売れなくなったことを意味していたのです。私自身はその後プロジェクトの営業に転じることになりましたが、SAPも現在の勢いを取り戻すまでしばらく低迷する時期を経験していたことを記憶しています。
■SAP導入の難しさ
なんでもそうですが、新しい技術が登場したときそれが普及した後の変化を事前に十分に理解することはとても出来ることではありません。後の時代になって初めて、昔はこうだったんだなあと振り返る、あの感覚です。SAPでも導入に成功され運用が定着されているお客様は同じような変化を感じられていることでしょう。
以前にあるお客様から伺ったお話ですが、EU統合で通貨統一を実現したように、企業にも情報基盤の統一は欠かせない。しかしSAPの導入でそれがどこまで出来るのかは十分に見極めなくてはいけないと。国や国家共同体と同じように企業をひとつの組織体として考えると、この言葉には自然と腑に落ちるものがありました。
新しい技術は自ずと組織に変革をもたらします。SAPの導入に成功するかどうかは、それをどこまで受け入れることが出来るか、SAPに適合的な組織にどこまで変革してゆくことが出来るかということに掛かっているのだろうと思います。
■運用管理の立場から
SAP導入の成否は導入後の安定した業務運用が可能となってはじめて決まります。しかし導入プロジェクトはシステムのカットオーバーをもって完了となりますので、その後の安定運用を保証するものではありません。先に述べた失敗プロジェクトの中には、導入は完了したが業務が回らなかったというケースが少なからずあったようです。
私の所属する運用管理部門では、日々様々な問い合わせやシステム不具合への対応に多くの時間を割いています。常々思うのは、きちんとしたマニュアルとユーザ教育体制が整備されていれば現在の仕事の多くは必要なくなり、運用管理業務はより生産的なものにできるだろうということです。導入当初に整備されていたマニュアル類も担当者の変更やアドオンプログラムの改修等を経て老朽化しているケースが少なからず散見されます。
現在SAPのメジャーバージョンアップを控えているお客様も多いと思いますが、マニュアル整備やユーザ再教育等のよい機会となることと思います。運用管理業務の一環として、機会があれば是非ともお手伝いしたい領域と考えています。
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